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第5土曜特集 心不全診療の未来戦略――ゲノム,AI,多臓器連関が拓く新時代
AIを活かした未来の心不全診療
細胞を生成する
-――生成AIが切り拓く次世代のオミクス解析と心臓病研究
Generating cells
――Generative AI opening new frontiers in omics analysis and cardiovascular research
神馬 崇宏
1,2
Takahiro JIMBA
1,2
1日本学術振興会特別研究員PD
2東京大学医学部附属病院循環器内科
キーワード:
生成AI
,
シングルセルオミクス解析
,
VAE(variational autoencoder)
,
Transfomer
Keyword:
生成AI
,
シングルセルオミクス解析
,
VAE(variational autoencoder)
,
Transfomer
pp.872-877
発行日 2025年11月29日
Published Date 2025/11/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295090872
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近年,シングルセルオミクス解析は心血管研究において飛躍的に発展し,膨大なデータを用いた疾患機序解明や治療標的探索が進んでいる.しかし,その高次元かつ複雑な情報を統合的に解析することは依然として大きな課題である.本稿では,生成AIの代表的手法であるVAE(variational autoencoder)系モデルとTransformer系基盤モデル(Geneformer)の心臓病研究応用について概説した.inVAEは数十万規模の核RNA-seqデータを統合し,拡張型心筋症や不整脈原性心筋症における疾患特異的細胞群を明瞭に描出した.Geneformerは1億細胞規模のデータで事前学習され,心筋症心筋細胞の遺伝子発現ネットワークを再構築し,仮想実験に基づき “細胞を生成” することで,新規転写因子や治療標的の候補を予測し,実験的に検証した.これらの最新の解析モデルは心不全や心筋症の研究を強力に推進している.一方で,大規模計算資源と効率性,マルチオミクスの統合,臨床応用への解析妥当性の検証など,課題は残されている.生成AIは心血管疾患研究の精緻化と新規治療法開発に向けた強力な基盤技術となることが期待される.

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