Japanese
English
研究と報告
Multi-Dimensional Voice Programを用いた音声の解析
Multi-parametric analysis for normal voices using a Multi-Dimensional Voice Program.
西尾 正輝
1
,
新美 成二
1
Masaki Nishio
1
,
Seiji Niimi
1
1国際医療福祉大学保健学部言語聴覚障害学科
1Department of Speech/Language Pathology and Audiology, International University of Health and Welfare
キーワード:
Multi-Dimensional Voice Program
,
音響分析
,
音声障害
Keyword:
Multi-Dimensional Voice Program
,
音響分析
,
音声障害
pp.927-933
発行日 2002年10月10日
Published Date 2002/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109875
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
コンピュータ技術ならびに音声信号処理技術の急速な発展に伴い,音声の音響学的解析技術は飛躍的に向上した.音響学的テクニックを用いて音声を解析することは,音声の異常の原因となっている疾患の検出や音声治療の効果を定量的に測定するうえで臨床的に有用である.
Kay社製Multi-Dimensional Voicc Program(以下,MDVP)とは,こうした音声の音響学的解析技術の臨床的応用を目的として開発された装置であり,表1に示した33種の音声パラメーターを簡便で客観的かつ定量的に測定可能である.有声の持続母音をサンプルとして解析し,結果を即座に図ならびに数値にて表示することが可能であり,正常範囲から逸脱している側面について一目にて他の側面と比較することができる(図).本システムの有用性に関する報告例は,近年相次いでいる1-12)また,本プログラムの信頼性については,Kentら5)によって,裏付けられている.
ところが,MDVPプログラムに含められているKay社の正常者の比較対照データ13)は,1)例数が男性21例,女性32例と十分とは言えない,2)年齢範囲が20歳代から50歳代に及んでおり,年代ごとの正常範囲を提示するには不十分分である,という問題を含んでいる.さらに,全例が英語を母国語としているため,日本語を母国語とする発話者の比較対照としての妥当性についても疑問がある.
そこで本研究では,日本語を母国語とし,喉頭疾患を認めない若年正常者200例(男性100例,女性100例)を対象として,MDVPプログラムを用いて計33種のパラメーターに関する正常範囲を性別に得ることを目的とする.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.