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特集 HFpEF(左室駆出率が保たれた心不全)の病態と治療
わが国におけるHFpEFの臨床的特徴と診断・治療に与える影響
Clinical features and these impact on diagnosis and treatment in Japanese patients with HFpEF
多田 篤司
1
,
永井 利幸
1
Atsushi TADA
1
,
Toshiyuki NAGAI
1
1北海道大学大学院医学研究院循環病態内科学
キーワード:
心不全
,
HFpEF(左室駆出率が保たれた心不全)
,
心房細動
Keyword:
心不全
,
HFpEF(左室駆出率が保たれた心不全)
,
心房細動
pp.1038-1042
発行日 2023年6月17日
Published Date 2023/6/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu285121038
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心不全患者の約半数においては左室駆出率(LVEF)が保たれており,これらの患者はHFpEF(左室駆出率が保たれた心不全)とよばれ,心不全患者に占める割合は年々増加している.HFpEFは心不全症状を有し,LVEFが50%以上,心エコー検査または心臓カテーテル検査で認める左室拡張機能障害を満たした場合に診断される.HFpEFは高齢者や女性に多く,高血圧や糖尿病,肥満,心房細動,慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの併存症を有することが特徴である.しかし,わが国のHFpEF患者における肥満や糖尿病,COPDの合併率は欧米に比較して低い一方で,高齢者や心房細動の合併率が高いことが報告されており,わが国におけるHFpEF患者の臨床的特徴は欧米と異なることが示唆されている.これらの臨床的特徴が異なる背景には,わが国と欧米におけるHFpEFの臨床病型が異なっていることが大きな要因として考えられている.さらに,これら臨床的特徴の違いがHFpEFの診断や治療にも決して少なくない影響を与えている.
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