FORUM 人間社会の未来――専門家が予見する人類の行方・Vol.5
情報技術が変える医療と人間のかたち
-――治療から予防,そして進化へ
荒川 豊
1
Yutaka ARAKAWA
1
1九州大学大学院システム情報科学研究院
pp.716-718
発行日 2025年11月22日
Published Date 2025/11/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295080716
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昨今の人工知能(AI)やセンサデバイス,通信インフラなどの情報技術の進展は,医療・医学分野にも急速かつ根本的な変化をもたらしている.特に2020年代以降,大規模言語モデルをはじめとする生成AIの発展は予想を遥かに上回るスピードで進展し,医療現場においてもAIによる医療画像診断支援,問診補助,カルテ記録の自動化,医療文書の自動生成,薬物相互作用チェック,さらには治療方針の最適化支援といった多岐にわたる実用例が日常的な診療の一部として定着しつつある1-3).同時に,IoT技術の浸透により,患者の生体情報を24時間365日モニタリングする環境が整備され,従来の「症状が出てから治療する」というリアクティブな医療から,「症状が出る前に予防する」というプロアクティブな医療への転換が現実のものとなっている4,5).

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