連載 リレーエッセイ 医療の現場から
医療施設における緑の癒しのかたち
佐々木 麻衣
1
1独立行政法人労働者健康福祉機構関西労災病院
pp.685
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100068
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筆者は,関西労災病院で園芸療法士として勤務しているが,さてここで,どれだけの人が園芸療法士または園芸療法という言葉をご存知だろうか.ほとんどの人が,園芸療法の意味をご存知ないことだろう.園芸療法とは,心や身体に病や障害を持った人に対して,植物や園芸作業または植物が育つ環境を利用し,心身をより良い方向へ導くセラピーである.例えば,病により閉ざされてしまったクライアントの心を生きた植物や植物が育つ環境を用いながら,クライアントの心を再び「生きる」という方向へ向くように働きかける.そして,閉ざされた心の扉が開いたところで,園芸作業を用いてリハビリテーションを行っていく.このように植物や園芸が持つ特徴をうまく利用する療法が園芸療法であり,これを行うのが園芸療法士である.
さて,当院で上記のような園芸療法が実施さえているかというと,現段階では行われていない.では,筆者が当院で何をしているかというと,大きく分けて三つの役目がある.まず一つは,当院に2004年5月からオープンしたホスピタルパーク「いぶきの園」という庭の管理・運営の責任者としての役目を務めることである.二つ目は,そのホスピタルパークの維持管理をお手伝い下さる市民ボランティアの指導とコーディネイトを行う役目,そして三つ目は当院における園芸療法の推進を行うことである.
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