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特集 造血幹細胞研究の革新と臨床応用への挑戦
造血幹細胞の多様性と階層性
Heterogeneity and hierarchy of hematopoietic stem cells
山本 玲
1
Ryo YAMAMOTO
1
1京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点
キーワード:
造血幹細胞(HSCs)
,
多様性
,
階層性
,
シングルセル解析
,
細胞系譜追跡
Keyword:
造血幹細胞(HSCs)
,
多様性
,
階層性
,
シングルセル解析
,
細胞系譜追跡
pp.637-642
発行日 2025年11月22日
Published Date 2025/11/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295080637
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造血幹細胞(HSCs)はすべての血液細胞を産生する多分化能と自己複製能を有し,造血系の恒常性維持に必須である.従来は,HSCsから多能性前駆細胞を経て血液細胞系譜が決定される階層的モデルが提唱されてきたが,近年のシングルセル解析や細胞系譜追跡実験により,その多様性と分化経路は従来の知見とは異なることが明らかとなった.HSCsには自己複製能の強弱だけでなく,骨髄系・リンパ系への分化指向性が存在し,血小板や赤血球を主に産生する新規サブセットが同定された.さらに,多能性前駆細胞を介さず直接,前駆細胞に分化する “myeloid bypass経路” や,血小板バイアスHSCsの存在も報告され,HSCsの階層性と分化様式は,従来モデルより複雑であることがわかってきている.これらの知見は,造血や疾患の理解に新たな視点を与えている.

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