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特集 造血幹細胞研究の革新と臨床応用への挑戦
胎生期の造血幹細胞
Hematopoietic stem cells in the embryonic stage
横溝 智雅
1
Tomomasa YOKOMIZO
1
1東京女子医科大学解剖学(顕微解剖学・形態形成学)
キーワード:
造血幹細胞(HSC)
,
発生
,
AGM(背側大動脈–生殖隆起–中腎)領域
,
細胞系譜追跡
Keyword:
造血幹細胞(HSC)
,
発生
,
AGM(背側大動脈–生殖隆起–中腎)領域
,
細胞系譜追跡
pp.649-652
発行日 2025年11月22日
Published Date 2025/11/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295080649
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造血幹細胞(HSC)は,多分化能と自己複製能を兼ね備えた特別な細胞として認識されている.そのような特別な細胞が,胎生期において “いつ” “どこで” “どのように” 生まれるのかは,長年にわたって多くの研究者の関心を集めてきた.移植実験を用いた一連の解析から,HSCは胚体内AGM(背側大動脈–生殖隆起–中腎)領域,特に背側大動脈の血管内皮細胞から生じるという認識がほぼ定着しているが,発生起源については依然として未解決の点も多く,完全な決着には至っていない.さらに,HSCの多分化能や自己複製能といった “幹細胞性” の定義や評価は,使用するアッセイ系に依存する側面があり,近年の解析手法の進歩に伴い,HSCの概念そのものにも再考を迫られるようになってきている.本稿では,これまでの多様な実験的アプローチによって明らかになってきた胎生期HSCの発生様式を概説するとともに,非侵襲的な細胞系譜追跡技術によって浮かび上がってきた,HSCおよび前駆細胞の役割についても紹介する.

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