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第1土曜特集 エピゲノム編集の進歩と医療応用への道
小児遺伝性疾患に対するエピゲノム編集アプローチの可能性
The potential of epigenome editing approaches for pediatric hereditary diseases
内山 徹
1
Toru UCHIYAMA
1
1国立成育医療研究センター成育遺伝研究部疾患遺伝子構造研究室
キーワード:
エピゲノム編集
,
CRISPR
,
DNAメチル化
,
転写調節
Keyword:
エピゲノム編集
,
CRISPR
,
DNAメチル化
,
転写調節
pp.421-426
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295050421
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エピゲノム編集は,DNA配列を改変せずに遺伝子発現を制御する治療モダリティであり,小児遺伝性疾患への応用が期待される.インプリンティング疾患では抑制アレルを再活性化し,ハプロ不全では正常アレルを増強するなど,疾患の分子病態に直結した介入を可能にする.DNA二本鎖切断(DSB)を伴わずゲノム損傷リスクが低いため,従来のゲノム編集に代わる安全性の高い治療法として注目される.理論上の可逆性を有する点も,介入の柔軟性を高める利点である.一方で,標的細胞への効率的な送達のほか,オフターゲット効果,長期的な安全性,倫理的課題など,臨床応用へ向けた検討事項も少なくない.今後,これらの課題を克服することで,本技術が小児遺伝性疾患の革新的な治療選択肢となることが期待される.

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