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特集 神経系による呼吸・循環調節――ホメオスタシスとアロスタシスによる制御
皮質視床ネットワークによる意図的な心拍数制御
Corticothalamic circuits regulate operant bradycardia
吉本 愛梨
1
,
池谷 裕二
2
Airi YOSHIMOTO
1
,
Yuji IKEGAYA
2
1Stanford University, Department of Biology
2東京大学大学院薬学系研究科薬品作用学教室
1Stanford University, Department of Biology
キーワード:
バイオフィードバック
,
皮質–視床経路
,
心拍数調節
Keyword:
バイオフィードバック
,
皮質–視床経路
,
心拍数調節
pp.280-285
発行日 2025年10月25日
Published Date 2025/10/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295040280
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バイオフィードバックとは,不随意性の生理活動を認識できるよう訓練し,被験者がその機能を制御できるようにする手法であるが,これを可能にする神経メカニズムは未解明である.そこで,動物を用いたバイオフィードバック実験の先駆けとして,自由行動中のラットを用いた心拍フィードバックシステムを構築した.ラットは30分以内に心拍数を減少させることを学び,3時間の訓練を5日間行った後,約50%の減少を達成した.訓練期間後も10日間,心拍数減少が持続し,ラットは抗不安行動を示し,血中赤血球数が上昇した.バイオフィードバックによる徐脈が,視床腹内側核(VMT)へ投射する前帯状皮質(ACC)ニューロンを不活性化することによって阻害されたことから,皮質–視床経路に着目した.VMTへ投射するACCニューロンは,操作訓練中にシータ振動を示し,ACCからVMTへの経路のシータリズム刺激は徐脈を再現することを見出した.ACCからシナプス入力を受けるVMTニューロンは,背内側視床下部(DMH)に投射し,DMHニューロンは迷走神経核(Amb)に投射していた.これらの発見は,意図的な心拍数調節のための包括的な回路を提案し,末梢-中枢連関への示唆を与えることができる1).

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