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特集 神経系による呼吸・循環調節――ホメオスタシスとアロスタシスによる制御
生体ガスによる呼吸パターンの維持機構
Mechanisms of respiratory pattern stabilization by endogenous gasotransmitters
岡﨑 実那子
1
Minako OKAZAKI
1
1筑波大学医学医療系生命医科学域神経生理学
キーワード:
呼吸中枢
,
硫化水素(H2S)
,
シナプス伝達調節因子
Keyword:
呼吸中枢
,
硫化水素(H2S)
,
シナプス伝達調節因子
pp.276-279
発行日 2025年10月25日
Published Date 2025/10/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295040276
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呼吸運動は一見単調な運動にみえるが,実際にはそのパターンは多様で,体内外の状況に応じて柔軟に調節されている.安静時にはホメオスタシス制御により一定の呼吸パターンが維持される一方で,運動時や高地などの環境変化では将来の需要の予測も含めて,適応的な呼吸パターンの変化(アロスタシス制御)が働く.これらの呼吸パターンの維持と変動は,延髄に存在する呼吸中枢の神経ネットワークによって担われている.脳内で合成される硫化水素(H2S)をはじめとした微量の生体ガスは,シナプス伝達を調節する機能がある.近年,H2Sが興奮性および抑制性シナプス伝達を調節することで,呼吸パターンの安定化に寄与することが明らかになった.従来のニューロン活動だけでなく,それらを取り巻く生体ガスに着目した新たな呼吸制御の理解が進むことが期待される.

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