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特集 周産期メンタルヘルス――プレコンセプションケアから地域リエゾンまで
産後うつ病に対する新規治療薬brexanoloneへの期待
Brexanolone for postpartum depression
伊藤 賢伸
1
Masanobu ITO
1
1順天堂大学医学部精神医学講座
キーワード:
産後うつ病
,
brexanolone
,
妊娠
Keyword:
産後うつ病
,
brexanolone
,
妊娠
pp.1221-1225
発行日 2025年9月27日
Published Date 2025/9/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294131221
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米国では,産後うつ病に対してbrexanoloneが米国食品医薬品局(FDA)により承認された.Brexanoloneは,神経ステロイドであるアロプレグナノロン(ALLO)をデキストリンから合成した化合物で,GABAA受容体に作用してアロステリック調節を行う.60時間持続点滴が必要であるが,投与開始翌日には効果を認め,迅速な作用が特徴である.有害事象としては自生思考(intrusive thoughts),脳波異常,パニック障害,流涙,自傷思考(self-injurious ideation),鎮静,絶望感が報告されており,非常に高価な薬剤である.投与開始30日後にも治療効果は持続していると考えられているが,30日以降のデータがほとんどなく,長期的な予後は不明である.同じALLO製剤で経口摂取可能なzuranoloneは,14日間の経口投与が必要であるが,投与開始15日後には十分な効果を認める.Brexanoloneもzuranoloneも投与開始後,迅速に効果を発揮することが期待されるが,長期的な予後は不明である.

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