Japanese
English
特集 「治療を終える」に向き合う
【総論】
治療終結に至った産後うつ病症例から学ぶこと
Learnings from a Case of Postpartum Depression that led to Treatment Discontinuation
尾崎 紀夫
1
Norio Ozaki
1
1名古屋大学大学院医学系研究科精神疾患病態解明学
1Pathophysiology of Mental Disorders, Nagoya University Graduate School of Medicine, Aichi, Japan
キーワード:
治療終結
,
discontinuation of treatment
,
産後うつ病
,
postpartum depression
,
エビデンス
,
evidence
,
治療者-患者関係
,
therapist-client relationship
,
共同意思決定
,
shared decision making
,
SDM
Keyword:
治療終結
,
discontinuation of treatment
,
産後うつ病
,
postpartum depression
,
エビデンス
,
evidence
,
治療者-患者関係
,
therapist-client relationship
,
共同意思決定
,
shared decision making
,
SDM
pp.1528-1535
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207440
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抄録
本稿では,精神科臨床における治療終結の課題に焦点を当て,筆者の40年にわたる臨床経験に基づき,初発産後うつ病患者の治療終結プロセスを具体的な事例として提示し,うつ病治療終結を決定するうえで重要な寛解および抗うつ薬維持療法期間に関するエビデンスを示した。そして,症状レベルの改善と安定に加え,社会的機能の改善や治療終結後の再発防止を達成するためには,抗うつ薬治療に加えて,妥当性の承認を基盤とした治療者-患者関係の構築や,心理教育を経た共同意思決定の重要性について論じた。さらに,うつ病以外の精神疾患においても同様のエビデンス構築が求められると結論づけた。また,患者と家族が求める「精神疾患の明確な理解と効果的な治療法」の実現には,病態の解明,新規治療薬の開発,さらに治療終結に至るためのエビデンスの確立が不可欠であることを指摘した。
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