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第5土曜特集 止血・血栓・凝固の最新知見――研究と臨床を繋ぐ
疾患・治療に伴う凝固異常
ワクチン起因性免疫性血栓性血小板減少症(VITT)と凝固線溶異常
Vaccine-induced immune thrombotic thrombocytopenia and coagulation/fibrinolytic abnormalities
山田 真也
1
,
朝倉 英策
1
Shinya YAMADA
1
,
Hidesaku ASAKURA
1
1金沢大学附属病院血液内科
キーワード:
ワクチン起因性免疫性血栓性血小板減少症(VITT)
,
血小板減少を伴う血栓症
,
抗PF4抗体
,
播種性血管内凝固(DIC)
Keyword:
ワクチン起因性免疫性血栓性血小板減少症(VITT)
,
血小板減少を伴う血栓症
,
抗PF4抗体
,
播種性血管内凝固(DIC)
pp.855-861
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294090855
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ワクチン起因性免疫性血栓性血小板減少症(VITT)は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアデノウイルスベクター型ワクチン接種後に,血小板減少と血栓症が生じる病態として認知されるようになった.特に脳静脈洞や内臓静脈に血栓が形成されることが特徴的で,発症頻度は100万人に数人と非常にまれである.当初,VITTの死亡率は50%に上ったが,疾患の啓発と治療法の普及により死亡率は現在5%程度に低下している.診断にはELISA法による抗PF4(血小板第Ⅳ因子)抗体の検出が重要であるが,その検査体制の構築が課題である.VITTの治療は,免疫グロブリン大量静注療法とアルガトロバンによる血栓予防が重要であり,ヘパリンの使用には賛否がある.また,播種性血管内凝固(DIC)を合併したVITTは予後不良である.いずれのワクチンにおいても,接種後にVITTと同様に血小板減少を伴う血栓症を呈する可能性があり,ワクチン接種後の臨床症状や検査所見には注意を払う必要がある.

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