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第5土曜特集 止血・血栓・凝固の最新知見――研究と臨床を繋ぐ
血栓性疾患――病態の解明と診断,治療の進歩
ヘパリン起因性血小板減少症
Heparin-induced thrombocytopenia
安本 篤史
1
Atsushi YASUMOTO
1
1北海道大学大学院医学研究院内科系部門内科学分野血液内科学教室
キーワード:
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)
,
HIT抗体
,
機能的検査
Keyword:
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)
,
HIT抗体
,
機能的検査
pp.797-800
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294090797
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ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)は血小板減少と血栓症を生じる疾患で,ヘパリンの副作用として知られている.近年,ヘパリン以外にも外傷や感染などでもHITと同様の病態が生じ,血小板第Ⅳ因子(PF4)に対する自己抗体が共通していることから,HITは抗PF4抗体疾患のひとつの病型という考え方が広まってきた.HITの診断にはHIT抗体の検出が必要であり,感度が高く設定されているため除外診断には有用であるが,特異度が低いため偽陽性が問題となる.確定診断には機能的検査が有用であるものの,高い精度管理が必要なことから,臨床研究でしか実施されていない.HITの治療はヘパリンの中止とともにヘパリン以外の抗凝固薬の投与が重要で,重症例には高用量免疫グロブリン静注療法(IVIg)が著効するという報告も増えている.今後,胎児性Fc阻害薬やSyk阻害薬,BTK阻害薬も治療薬として期待されている.

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