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第5土曜特集 止血・血栓・凝固の最新知見――研究と臨床を繋ぐ
血栓性疾患――病態の解明と診断,治療の進歩
抗リン脂質抗体症候群のアップデート
-――新しい分類基準を中心に
Update on antiphospholipid syndrome
――Focusing on new classification criteria
家子 正裕
1
Masahiro IEKO
1
1札幌保健医療大学保健医療学部看護学科
キーワード:
抗リン脂質抗体症候群(APS)
,
APS分類基準
,
動静脈血栓症
,
妊娠合併症
,
抗リン脂質抗体(aPL)
Keyword:
抗リン脂質抗体症候群(APS)
,
APS分類基準
,
動静脈血栓症
,
妊娠合併症
,
抗リン脂質抗体(aPL)
pp.791-796
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294090791
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抗リン脂質抗体症候群(APS)は自己免疫が関与する後天性血栓性素因で,血栓症や妊娠合併症をきたす.APSの診断には抗リン脂質抗体(aPL)の正確な検出が重要である.固相化アッセイ(SPA)-aPL(抗カルジオリピン抗体,抗β2GPⅠ抗体)ではIgG/Mクラスを,ループスアンチコアグラント(LA)ではdRVVT/APTT-LAのすべてを測定する.APS診断は2023年に発表された米国リウマチ学会(ACR)/欧州リウマチ学会(EULAR)のAPS分類基準に従い,6領域のAPS臨床所見および2領域のaPL検査所見のスコアがともに3点以上でAPSと確定診断する.APSには治療開始基準はなく,aPL陽性者でAPS症状が確認されたなら治療を考慮する.ワルファリンによる抗凝固療法が主体であるが,動脈血栓症で発症したAPSでは抗血小板薬の単独またはワルファリン併用が考慮される.産科APSに対しては,低用量アスピリンまたはヘパリン療法が推奨される.

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