特集 血栓・止血の異常を理解する―広くて深い基礎知識
[Chapter 2] 血栓・止血に関連する疾患
A.血栓性疾患
抗リン脂質抗体症候群
五野 貴久
1
1日本医科大学大学院 医学研究科アレルギー膠原病内科学分野
キーワード:
抗リン脂質抗体(aPL)
,
血栓症
,
流産
Keyword:
抗リン脂質抗体(aPL)
,
血栓症
,
流産
pp.732-736
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_732
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▪抗リン脂質抗体症候群(APS)は,リン脂質ないしリン脂質・蛋白複合体に対する自己抗体が血清中に持続して存在し,動脈・静脈の血栓症,あるいは流産をはじめとする妊娠合併症をきたす.
▪本邦には1万~2万人の患者がいると推定され,男女比は1:5で女性に多い.平均発症年齢は30~40歳前後と考えられているが,思春期から高齢者まで幅広く発症しうる.
▪繰り返す流産,若年性脳梗塞,原因不明の血栓塞栓症をみた際には,鑑別疾患の一つとして,本疾患を念頭に置く.
▪基礎疾患が併発していない原発性APSと,全身性自己免疫疾患が併発している続発性APSとに分類され,続発性APSでは全身性エリテマトーデス(SLE)の頻度が高い.
▪治療として,動脈血栓症では抗血小板薬,静脈血栓症ではwarfarinによる抗凝固療法を行う.
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