Japanese
English
特集 エネルギー代謝異常と腎疾患
オートファジーの停滞
-――加齢と肥満に共通する腎疾患進展メカニズム
Autophagic stagnation
――A key mechanism in kidney disease progression linked to aging and obesity
山本 毅士
1
,
松井 翔
1
,
猪阪 善隆
1
Takeshi YAMAMOTO
1
,
Sho MATSUI
1
,
Yoshitaka ISAKA
1
1大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学
キーワード:
オートファジー停滞
,
リソソーマルエクソサイトーシス
,
肥満関連近位尿細管症(ORT)
,
SGLT2阻害薬
,
腎脂肪毒性
Keyword:
オートファジー停滞
,
リソソーマルエクソサイトーシス
,
肥満関連近位尿細管症(ORT)
,
SGLT2阻害薬
,
腎脂肪毒性
pp.303-309
発行日 2025年7月26日
Published Date 2025/7/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294040303
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オートファジーは,リソソームを介した細胞内の分解・リサイクル経路であり,腎の恒常性維持に不可欠である.筆者らはこれまで,近位尿細管におけるオートファジーの役割を加齢,肥満,糖尿病の観点から検討してきた.加齢に伴うミトコンドリア障害などのストレスにより基底オートファジーは亢進し,老化に対抗するが,さらなるストレス下ではストレス応答時の適切なオートファジー活性が損なわれ,腎老化が加速する.一方,肥満ではリソソーム機能障害によりリン脂質が蓄積し,オートファジー停滞が生じて腎脂肪毒性を引き起こす.加齢および肥満患者の腎生検でも同様の病態が観察される.この病態に対する治療として,TFEB(transcription factor EB)を介したリソソーマルエクソサイトーシスは腎脂肪毒性を軽減し,SGLT2阻害薬やエイコサペンタエン酸(EPA)はオートファジー活性を回復させる.本稿では,加齢や肥満に伴う腎疾患進行機序としてのオートファジー停滞や,新たな疾患概念である “肥満関連近位尿細管症(ORT)”,それらを標的とした新たな治療戦略について概説する.

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