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第1土曜特集 大変革期のリハビリテーション治療と拡大する守備範囲
疾患別リハビリテーション治療の進化
COVID-19感染後のブレインフォグに対するrTMS治療
rTMS for the treatment of brain fog after COVID-19 infection
佐々木 信幸
1
Nobuyuki SASAKI
1
1聖マリアンナ医科大学リハビリテーション医学講座
キーワード:
ブレインフォグ
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)
,
脳血流
Keyword:
ブレインフォグ
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)
,
脳血流
pp.42-48
発行日 2025年7月5日
Published Date 2025/7/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294010042
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新型コロナウイルス感染後遺症(long COVID)のひとつに,さまざまな認知機能障害の総体としてのブレインフォグがある.いまだその詳細な成因は不明であるが,自己免疫機序や軸索の逆行性輸送に伴う脳症状と考えられている.ブレインフォグでは脳にモヤがかかったようと表現されるように,注意,記憶,自発性などが低下し,広義の視覚異常を呈する患者も少なくない.筆者らはこのブレインフォグに対し,脳血流シンチグラム(SPECT)で血流低下を認めた後頭頭頂葉,前頭葉への反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)を適用している.10Hzの賦活性rTMSにより,倦怠感や自発性,WAIS-4における認知機能の有意な改善が認められ,脳血流低下にも改善傾向が認められている.しかし,rTMSを用いた最適な治療プロトコール完成までには解決すべき課題が山積している.たとえば筆者らの手法では,倦怠感や自発性低下に対しては10回の治療で十分であっても,WAIS-4の十分な改善には20回以上の治療が必要な可能性がある.

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