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第1土曜特集 HIVの発見から40年――医学はどう戦ったか,これからどう戦うのか
HIV/AIDSとその治療の新展開
HIV感染者におけるCOVID-19
-――予後と診断・治療時の注意点
COVID-19 in HIV-infected patients
中本 貴人
1
Takato NAKAMOTO
1
1国立国際医療研究センター病院エイズ治療・研究開発センター
キーワード:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
重症化
,
後遺症
,
予防接種
Keyword:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
重症化
,
後遺症
,
予防接種
pp.701-705
発行日 2023年3月4日
Published Date 2023/3/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28409701
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック初期におけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)検査体制への影響により,2020年度には自治体でのHIV検査数は減少し,新規HIV感染者の報告数も減少した.パンデミック初期はHIV感染者(PLWH)でCOVID-19が重症化するのか,さまざまな議論がなされてきた.COVID-19発生からおよそ3年が経過し,PLWHでのCOVID-19のデータが蓄積され,PLWH,特にHIVのコントロール不良な症例で,入院率,重症化率,死亡率いずれも高まることがわかってきた.PLWHにおける罹患後症状はHIV非感染者(non-PWLH)と比較してより高率である可能性が示唆されている.COVID-19の診断はnon-PLWHと同様であるが,HIVのコントロール不良例では,COVID-19以外に日和見感染症の検索を行う必要がある.COVID-19の治療もnon-PLWHと同様であるが,抗HIV薬との併用に注意が必要である.予防には予防接種がPLWHでも安全かつ有効であることが証明されている.現在も次々と新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は変異しながら流行を繰り返しているが,予防接種を推奨し,適切な抗HIV療法を行い,肥満などのCOVID-19重症化因子の改善を推奨し,COVID-19の早期診断・早期治療を行うことが,PLWHにおけるCOVID-19の予後を改善することである.
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