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特集 神経回路の機能発達と障害――基礎研究からヒト病態へ
ニューロン機能獲得と再生のための “場” としてのエピゲノム制御
Epigenome regulation as a basis for acquiring neuronal function and regeneration
岸 雄介
1
,
西山 雄大
1
Yusuke KISHI
1
,
Yudai NISHIYAMA
1
1東京大学定量生命科学研究所分子神経生物学研究分野
キーワード:
エピゲノム
,
ニューロン
,
発生
,
再生
Keyword:
エピゲノム
,
ニューロン
,
発生
,
再生
pp.1184-1189
発行日 2025年6月28日
Published Date 2025/6/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293131184
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脳には性質の異なるさまざまな種類のニューロンが存在するが,そのほとんどは発生期に産生され,成熟し,一生にわたって外的・内的な環境変化に応答してその性質を変化させる.また,一部のニューロンでは障害などによって失われた機能を再生させることができる.DNAやヒストン修飾,DNAへの接近しやすさであるクロマチンアクセシビリティ,クロマチン三次元構造などで構成されるエピゲノム(「サイドメモ」参照)は,体内の異なる細胞種が発生期に適切に産生され,その性質を維持するために必要な遺伝子発現制御機構である.近年の技術開発によって可能になった網羅的なエピゲノム解析によって,発生期にニューロンが多様性や応答性を獲得する過程で,また成熟後の再生の過程でエピゲノム制御が重要であることが明らかとなってきている.本稿では,エピゲノムが神経回路を形成・再生するための “場” を提供していることを示唆する最近の知見を紹介する.

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