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第5土曜特集 マルチオミクスが解き明かす疾患の本質――統合的アプローチによる新たな知見
総論:マルチオミクス解析の基盤と技術
深層生成モデルが解き明かす一細胞・空間オミクスに潜む多様性
Elucidation of heterogeneity underlying single cell and spatial omics data by deep generative models
小嶋 泰弘
1
Yasuhiro KOJIMA
1
1国立がん研究センター研究所計算生命科学ユニット
キーワード:
一細胞トランスクリプトーム
,
空間トランスクリプトーム
,
深層生成モデル
,
データ統合
,
RNA velocity
Keyword:
一細胞トランスクリプトーム
,
空間トランスクリプトーム
,
深層生成モデル
,
データ統合
,
RNA velocity
pp.748-753
発行日 2025年5月31日
Published Date 2025/5/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293090748
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近年の一細胞・空間オミクスの隆盛により,われわれは,これまでにない解像度で生体組織ならびに疾患における細胞・微小環境の組織内多様性を目の当たりにしている.それらはさまざまな疾患において病態と結びつけられ,治療標的の探索においても重要な要素となっている.それでは,どのようにしてその多様性を特定し,さらにはそれを生み出す因子を明らかにできるであろうか.このような場面で有用となるのが,深層生成モデルである.深層生成モデルは,一細胞・空間オミクスデータの生成過程を深層学習により柔軟にモデル化することで,データの背後にある細胞の多様性の解明,データの統合による多様な細胞の状態に対する空間コンテキストの復元,さらには多様性を生み出す環境因子の特定を可能にしてきた.本稿では,これらの深層生成モデルを紹介するととともに,深層生成モデルが一細胞・空間オミクスへの応用でなぜ成功したのか,さらには今後の発展についても議論する.

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