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特集 シングルセルオミクス
Ⅰ.シングルセルオミクスの原理
1細胞ダイナミクスの推論—計測・計算手法の進歩と応用
Single-cell dynamics inference:advances and applications of measurement and computational methods
島村 徹平
1,2
Shimamura Teppei
1,2
1東京医科歯科大学難治疾患研究所計算システム生物学分野
2名古屋大学大学院医学系研究科システム生物学分野
キーワード:
1細胞トランスクリプトーム解析
,
遺伝子発現ダイナミクス
,
代謝ラベリング
,
細胞系譜追跡
,
深層生成モデル
Keyword:
1細胞トランスクリプトーム解析
,
遺伝子発現ダイナミクス
,
代謝ラベリング
,
細胞系譜追跡
,
深層生成モデル
pp.310-317
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201876
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シングルセルトランスクリプトミクスは,生物学の様々な領域において,発生や疾患のメカニズム解明に多大な貢献をしてきた。例えば,細胞分化過程の可視化1),腫瘍微小環境の解明2),稀少細胞集団の同定3),細胞間相互作用の解析4),疾患特異的な遺伝子発現パターンの発見5),治療標的の探索6),薬剤応答性の予測7),など,1細胞解析によって初めて明らかになった知見は数多くある。この技術は,個々の細胞の網羅的な遺伝子発現情報を提供し,細胞表現型の詳細な記述を可能にした。
近年,シングルセルトランスクリプトミクスの技術的進歩に伴い,研究の焦点は細胞表現型の記述から,その表現型を駆動する遺伝子制御メカニズムの解明へと移行しつつある。1細胞解析は,網羅的な遺伝子発現情報と個々の細胞の微妙な挙動を捉える能力により,この分野に最適のアプローチであると考えられている。しかし,遺伝子制御ネットワークのモデリングは依然として困難な課題であり,既存の手法では限定的な成功しか収めていないのが現状である。
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