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第5土曜特集 脳科学研究が推進する うつ病の病態・診断・治療の発展
治療
経頭蓋直流電気刺激(tDCS)によるうつ病治療の現状と展望
The current state and future prospects of transcranial direct current stimulation(tDCS) for depression treatment
西田 圭一郎
1
Keiichiro NISHIDA
1
1大阪医科薬科大学医学部総合医学講座神経精神医学教室
キーワード:
経頭蓋直流電気刺激(tDCS)
,
うつ病
,
不安障害
,
左背外側前頭前野(DLPFC)
,
認知機能改善
Keyword:
経頭蓋直流電気刺激(tDCS)
,
うつ病
,
不安障害
,
左背外側前頭前野(DLPFC)
,
認知機能改善
pp.1184-1189
発行日 2025年3月29日
Published Date 2025/3/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292131184
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経頭蓋直流電気刺激(tDCS)は,うつ病,不安障害などの精神疾患の気分や感情,認知機能改善に効果が期待される低侵襲な神経調節手法である.tDCSは1~2mAの微弱な直流電流を脳の特定領域に流し,神経細胞の活動と可塑性を調整する.左背外側前頭前野(DLPFC)への陽極刺激が抗うつ効果を示した報告が多く,多くの研究でうつ病治療に有効であることが示唆されているが,治療効果の持続性や適切な対象,ほかの治療法との併用効果についてはさらなる検討が必要な段階である.近年,tDCSの在宅治療への応用も進展しているが,患者自身によるデバイス操作に伴う安全性の課題も指摘される.倫理的観点からは,自己使用や市販デバイスの誤用が懸念され,国際的なガイドラインの整備が進められている.今後,tDCSの効果メカニズムの解明や治療基準の確立が進めば,うつ病をはじめとする精神疾患治療の重要な選択肢としてさらに普及する可能性がある.

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