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第5土曜特集 脳科学研究が推進する うつ病の病態・診断・治療の発展
診断
うつ病の血液バイオマーカー:テロメア
The biomarker for major depressive disorder:Telomere
越智 紳一郎
1
Shinichiro OCHI
1
1愛媛大学大学院医学系研究科精神神経科学
キーワード:
テロメア
,
細胞老化
,
自殺
,
重症度
Keyword:
テロメア
,
細胞老化
,
自殺
,
重症度
pp.1120-1124
発行日 2025年3月29日
Published Date 2025/3/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292131120
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うつ病の早期発見や早期介入のための血液バイオマーカーの同定が必要とされている.近年,ストレスに対する反応として,細胞老化が加速することが示されており,精神疾患に関してもうつ病や自殺が細胞老化と関連していることが報告されている.テロメアは細胞老化と関連する代表的な因子のひとつである.正常でもテロメアの短縮に伴い,DNA損傷反応やアポトーシスなどの細胞老化が起こるが,ストレスによるグルココルチコイドの分泌誘導や,活性酸素の発生,炎症でも,テロメアの短縮と機能不全が起こり,細胞老化が加速する.老化した細胞の増殖はそれ自体が炎症を引き起こし,さらに細胞老化を加速させるという悪循環を引き起こすと考えられている.うつ病患者は健常人と比較してテロメアの短縮がみられると報告されている.リチウムやある種の精神療法はテロメアの延長と関連する可能性もあり,今後,テロメア長はうつ病の症状や治療の血液バイオマーカーの候補となるかもしれない.

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