Japanese
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特集 グリア研究の最先端
B.病態モデル研究
アトピー性皮膚炎に伴う慢性的な痒みと脊髄後角アストロサイト
Crucial role of astrocytes in the spinal dorsal horn in chronic itch in atopic dermatitis
津田 誠
1
Tsuda Makoto
1
1九州大学大学院薬学研究院ライフイノベーション分野
キーワード:
痒み
,
アストロサイト
,
STAT3
,
脊髄後角
Keyword:
痒み
,
アストロサイト
,
STAT3
,
脊髄後角
pp.571-574
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200352
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痒みは皮膚や粘膜を引掻きたくなるような不快な感覚である。生理学的には,引掻き行動を誘発させ,皮膚などに付着あるいは侵入する寄生虫などの外敵を除去する,生体防御機構の一つとされている。通常,痒みは掻痒皮膚への引掻きにより軽減するが,アトピー性皮膚炎などの病的な痒みは,慢性的で耐え難く,過剰な引掻き行動を繰り返してしまう。そのような長期的な引掻き行動は皮膚炎を誘発・悪化させ,更に痒みを増強する“痒みと掻破の悪循環”を形成し,痒みの慢性化や重症化につながる1)。慢性掻痒は睡眠障害や肉体疲労,精神的ストレスをもたらし,生活の質を著しく低下させる。現在,国民の約1割がアトピー性皮膚炎を発症すると推定されており,痒みのコントロールは極めて重要な課題である。しかしながら,抗ヒスタミン薬など既存の治療薬が十分に奏効しないため,病態メカニズムの解明と新規治療薬開発が強く求められている。
本稿では,最近研究が急速に進展している脊髄後角内の痒み伝達回路を概説し,アトピー性皮膚炎などに伴う痒みの慢性化における神経細胞およびグリア細胞の役割に注目した最新の研究成果を紹介する。
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