Japanese
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特集 概日時計が制御する多面的な生理機構
哺乳類の概日時計機構
Circadian clock mechanism in mammals
本間 さと
1
Sato HONMA
1
1札幌花園病院 睡眠医療センター
キーワード:
概日時計
,
視交叉上核(SCN)
,
光同調
,
自律性リズム発振(フリーラン)
,
睡眠・覚醒リズム
Keyword:
概日時計
,
視交叉上核(SCN)
,
光同調
,
自律性リズム発振(フリーラン)
,
睡眠・覚醒リズム
pp.809-813
発行日 2025年3月8日
Published Date 2025/3/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292100809
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睡眠・覚醒をはじめ,生体内のほぼすべての生理機能は24時間周期のリズムを示す.これは,昼夜の明暗や温度変化,あるいは勤務などの社会的な要因によりつくり出されたリズムではなく,内因性の振動体である “概日時計” により駆動されたリズムである.概日時計は,約24時間周期の自律的なリズム発振(フリーラン),外的因子(同調因子)による内因性周期の調節(同調),温度変化に依存しない一定周期の発振(温度補償性)という基本的な性質を持ち,一部の原核生物からヒトに至るまでの生物が共通して持つ仕組みである.一連の時計遺伝子の転写-翻訳フィードバックループがリズム発振の分子機構とされ,さらに,細胞内での翻訳後修飾,振動細胞間のネットワークが周期の安定性や柔軟な環境適応に重要である.哺乳類では,中枢時計である視交叉上核(SCN)が全身の末梢時計をリズム同調し,さらに,末梢時計からのフィードバックを受けるという階層性振動体構造が特徴的である.

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