Japanese
English
特集 概日時計が制御する多面的な生理機構
生体リズムの神経制御
The neural regulation of circadian rhythm
李 若詩
1,2
,
櫻井 武
1,2
Ruoshi LI
1,2
,
Takeshi SAKURAI
1,2
1筑波大学医学医療系
2筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)
キーワード:
視交叉上核(SCN)
,
神経ペプチド
Keyword:
視交叉上核(SCN)
,
神経ペプチド
pp.814-818
発行日 2025年3月8日
Published Date 2025/3/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292100814
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生命は時の流れのなかで機能している.生体リズムは,生物の体内で周期的に繰り返される生理的な活動や変化のことであり,生命活動の多くの側面に影響を与えている.生体リズムにはその周期の長さにしたがって,さまざまな種類がみられる.サーカディアンリズム(概日リズム)は約24時間の周期を刻み,睡眠・覚醒サイクル,体温リズム,ホルモン分泌リズムなどが含まれる.サーカディアンリズムより短い周期のリズムをウルトラディアンリズムとよび,心拍や呼吸のリズム,睡眠中のレム睡眠とノンレム睡眠の周期などが該当する.逆にインフラディアンリズムは24時間より長い生体リズムであり,月経周期,季節性の行動変化,動物の繁殖周期などが含まれる.このなかには季節リズムも含まれる.これは季節を通じた変化であり,季節性情動障害(冬季うつ),動物の冬眠や渡りなど,季節に応じた生理的・行動的変化を指す.生体リズムは,環境の周期的な変化に適応するための仕組みであり,生存率の向上に寄与していると考えらえる.ここでは,最も解明が進んでいる概日リズムを中心に述べる.

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