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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.22
LAG-3によるself-pMHCⅡ認識を起点とした恒常性維持機構の解明
Maintenance of homeostasis through recognition of self-peptide:MHCⅡ complex by LAG-3
丸橋 拓海
1
Takumi MARUHASHI
1
1東京大学定量生命科学研究所分子免疫学研究分野
キーワード:
抑制性免疫補助受容体
,
LAG-3
,
MHCクラスⅡ
,
self-pMHCⅡ
Keyword:
抑制性免疫補助受容体
,
LAG-3
,
MHCクラスⅡ
,
self-pMHCⅡ
pp.321-325
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292040321
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SUMMARY
抑制性免疫補助受容体LAG-3は,PD-1とCTLA-4に次ぐ有望な薬剤標的として注目を集めてきた分子であり,すでにがん治療薬としてLAG-3阻害抗体の臨床応用が始められているにもかかわらず,その作用機構には多くの謎が残されていた.2018年になってようやく,LAG-3が構造的に安定なペプチド-MHCⅡ複合体(pMHCⅡ)を選択的に認識することで抑制機能を発揮する,という基礎的な知見が得られたところである.MHCⅡは病原体や異物などの非自己由来ペプチドを提示することで獲得免疫応答を惹起する一方で,自己由来ペプチドを提示することで免疫寛容の成立・維持を担う.従来,これらの現象はすべてT細胞受容体(TCR)による認識を起点とした生体応答であると考えられていた.しかし近年の研究から,LAG-3もまた自己(self)pMHCⅡを構造依存的に認識する “免疫センサー” であり,自己免疫疾患の発症を抑えるという “功” の作用を有していることが明らかになってきた.
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