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1.はじめに―α-klothoの発見
α-klothoは顕著な電解質代謝異常により多彩な老化様症状を呈する変異マウスの原因遺伝子として同定された1).α-klothoはI型膜蛋白をコードしており,その大部分を占める細胞外ドメインは2個のβ-glycosidase familyホモログより構成されており,腎遠位尿細管,上皮小体,脈絡膜で発現している1,2).これらの組織の細胞内には多量のα-Klothoが存在し(細胞内型),また,細胞膜型,さらに細胞膜貫通ドメインの直上で切断された分泌型(血清,脳脊髄液,尿中より同定される)3)が知られている(図1).細胞内型のα-KlothoはNa+,K+-ATPaseと結合しており4),一方,細胞膜上ではFGF23(fibroblast growth factor 23),FGFR1(fibroblast growth factor receptor 1)と三者複合体を形成しており5),これらの結合分子の機能制御を介してカルシウム,リン代謝の制御にかかわっている.事実,α-klotho変異マウスは血管中膜の石灰化,内膜の肥厚を特徴とする老化に伴って発症する動脈硬化,骨密度の低下,軟部組織の石灰化など電解質代謝異常を推定させる表現型を示し,血清リンの顕著な上昇,血清カルシウムの亢進,1α,25(OH)2D3(活性型ビタミンD)の持続的上昇,血清FGF23の顕著な増加が観察される(図1).
α-klothoの発見以来,その分子機能はながらく不明であったが,最近の研究によりα-klothoはカルシウム・リン代謝制御の中心的な制御因子であることが示され,カルシウム・リン恒常性制御機構の新たなコンセプトと分子機構の理解がもたらされた.
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