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特集 生物学的相分離と計測技術
ラマン顕微鏡を用いた相分離液滴のラベルフリー濃度定量
Label-free quantification of LLPS droplets using Raman microscopy
澁谷 蓮
1
,
中林 孝和
1
,
梶本 真司
1
Ren SHIBUYA
1
,
Takakazu NAKABAYASHI
1
,
Shinji KAJIMOTO
1
1東北大学大学院薬学研究科生物構造化学分野
キーワード:
濃度定量
,
ラマン顕微鏡
,
神経変性疾患
,
ストレス顆粒
,
分子クラウディング環境
Keyword:
濃度定量
,
ラマン顕微鏡
,
神経変性疾患
,
ストレス顆粒
,
分子クラウディング環境
pp.268-274
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292040268
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ラマン顕微鏡を用いて液–液相分離(LLPS)によって形成した液滴を観測することで,液滴内の化学組成や分子構造を調べることができる.さらに,水のラマンバンドを強度標準として用いることで,液滴内外のラマンスペクトルから生体分子濃度をその場定量することも可能となる.本稿では,緩衝溶液中に形成した神経変性疾患関連タンパク質のひとつであるataxin-3の液滴,およびストレス応答によって生細胞内に過渡的に形成したストレス顆粒について,ラマン顕微鏡を用いて生体分子濃度を定量した結果を紹介する.特にストレス顆粒においては,タンパク質濃度は液滴周囲の細胞質とほとんど変わらないのに対して,核酸濃度は20%程度高く,また脂質はほとんど含まれていないことを定量的に示すことに成功した.さらに,液滴内の分子クラウディング環境と周囲の環境の関係について概説する.
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