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特集 障害学Update
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活性酸素による障害
Injury by Active Oxygen.
宮野 佐年
1
Satoshi Miyano
1
1東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座
1Department of Rehabilitation Medicine, The Jikei University School of Medicine
キーワード:
活性酸素
,
リハビリテーション
,
運動療法
Keyword:
活性酸素
,
リハビリテーション
,
運動療法
pp.989-991
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108218
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はじめに
40億年前の太古の大気中では,酸素は非常に薄く,人類は到底生存できなかったと推測される.しかし,藍藻が30億年ほど前に出現し,光合成によって酸素を生成することで,大気中の酸素濃度が上がり1),現在の地球上の祖先は,酸素を電子受容体としてエネルギーを生み出すミトコンドリアにより効率的に酸素を取り入れてATPを作り出すことができるように進化してきた.
われわれ人類の存在のためには酸素は必要不可欠のものであり,酸素の存在なしでは3分と生きていられないことは自明である.そして,呼吸困難が生じれば,高濃度の酸素を吸入することにより呼吸困難が改善することは,日常の診療のなかでよく経験することである.
一方,人類の生体エネルギーの源泉であるATPの生成において,消費される酸素の4~5%は活性酸素となると言われ2),活性酸素による障害が種々わかってきた3).運動やスポーツを行うと酸素消費量が増加し,活性酸素の発生も多くなり4),“スポーツは体にわるい”という加藤の本5)が多方面で反響を呼んだ.われわれリハビリテーション領域では,安静による廃用症候の予防や種々の運動療法が重要な治療手段であるが,これらの功罪についても考えてみたい.
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