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特集 肝疾患の早期発見・早期治療の要となる肝機能検査
肝臓からの “SOS”;ALTによる慢性肝疾患の早期診断
-――「奈良宣言2023」を踏まえた慢性肝疾患スクリーニング
“SOS” from the liver;Early diagnosis of chronic liver disease with levels of ALT
――Screening of chronic liver disease based on “Nara Declaration 2023”
芥田 憲夫
1
Norio AKUTA
1
1虎の門病院肝臓内科
キーワード:
ALT
,
AST
,
奈良宣言
,
慢性肝疾患
,
脂肪肝
Keyword:
ALT
,
AST
,
奈良宣言
,
慢性肝疾患
,
脂肪肝
pp.207-209
発行日 2025年1月18日
Published Date 2025/1/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292030207
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ASTとALTはアミノ酸の合成を促す酵素である.ASTは主に肝細胞,心筋,骨格筋,赤血球など,ALTは主に肝細胞に局在し,これら臓器の壊死や細胞膜の障害により血中に遊出する.よって,ALT上昇は肝細胞障害としての特異性が非常に高い指標といえる.ASTは肝臓内に均一に分布しているのに対して,ALTは門脈域に多く分布する.門脈域主体の障害である肥満に伴う脂肪肝ではALTがASTよりも優位に上昇する.2023年6月,日本肝臓学会は,ALT>30U/Lは慢性肝臓病が潜んでいる可能性があることから,かかりつけ医に受診することを提言する奈良宣言を発出した.特に肥満や糖尿病を合併した脂肪肝症例においては,肝線維化進行例の見落としを減らすことを目的としている.ALT>30U/Lは,沈黙の臓器,肝臓からのSOSであり,今後は医療者と患者の双方に対して啓発を進めていく必要がある.
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