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Case
職場の健康診断で発見された原発性胆汁性肝硬変(PBC)の1例
患 者:40歳,女性,独身.
既往歴:なし.
家族歴:肝臓疾患や膠原病はなし.
現病歴:アルコールはほとんど飲まない.
昭和58年の秋季健康診断の血液検査にて,初めてALP15.7(KAU),γ-GTP 96,LAP 636と異常値を示した.HBVは陰性.甲状腺検査,DIC,肝臓エコー検査でも異常を認めず.精密検査のため某公立病院を紹介した.59年1月に肝生検を受け,非A非B慢性肝炎の診断であった.しかし,59年9月の健康診断でも依然としてALPとγ-GTPが高値であったので,抗ミトコンドリア抗体を調べたところ陽性であった.前年の肝生検の組織診断につき,再検査を依頼した.その結果,PBC compatibleの診断であった.経過中,高ガンマグロブリン血症,抗核抗体陽性,高胆汁酸を示すも,ビリルビンは常に正常であった.
治療は,昭和61年にALPとγ-GTPが急激に上昇したのでプレドニン(R)を投与するも,変化もなく中止.平成元年7月よりコルヒチン1 mgを開始し,平成8年8月よりウルソデオキシコール酸600 mgを追加した.経過中,総胆汁酸と総コレステロールは上昇するものの,ビリルビンは正常であり,症状も全く認めなかった.平成11年5月に退職となり転医した.
退職時の検査結果はAST 90 IU/l,ALT 75 IU/l,ALP 1,264 IU/l,γ-GTP 523 IU/l,LAP 210,ビリルビン0.5 mg/dl,T.chol 297 mg/dl,TP 8.6 g/dl,IgG 2,405 mg/dl,IgM 461 mg/dl,Hg 12.4,血小板148,000,総胆汁酸373μMであった.なお,HCVは陰性である.平成15年1月現在も健在である.
健康診断の目的は,肝臓疾患に限らず次のようなものである.
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