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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.15
自己成分変動に伴う自然免疫細胞産生経路の変化とその生理的意義
Differentiation of protective innate immune cells in response to perturbation in inner self
浅野 謙一
1
Kenichi ASANO
1
1横浜市立大学医学部微生物学
キーワード:
自然免疫
,
単球
,
分化
,
Ym1
,
組織修復
Keyword:
自然免疫
,
単球
,
分化
,
Ym1
,
組織修復
pp.492-496
発行日 2024年11月9日
Published Date 2024/11/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291060492
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SUMMARY
自然免疫系は病原体などの非自己に応答し急性炎症を惹起するが,自己由来成分にも反応し,自己免疫疾患や慢性炎症の原因となる.この反応は,自己を非自己と誤認した過程で生じる有害な副作用とみなされてきたが,最近では,アポトーシス細胞を貪食したマクロファージが免疫寛容を誘導するなど,自己認識が有利に働く場面もあることがわかってきた.しかし,生体における抑制型自然免疫細胞の実体や誘導機構の詳細はよくわかっていなかった.制御性単球は,炎症促進に作用する古典的単球と異なり,炎症回復期に増加し,炎症収束や組織修復を促進する.定常状態のマウス骨髄では,MDPからcMoPを経由して古典的単球が作られるのに対し,炎症後期には,MDP-cMoP経路の単球産生が縮小し,好中球系前駆細胞から自己保護作用を備えた制御性単球が増産される.今後,制御性単球の増産を刺激する因子やセンサー機構を明らかにすることで,自然免疫系による恒常性回復機構の全容解明が期待される.
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