今月の主題 ウイルス感染症─最新の動向
総論
ウイルス感染と自然免疫
藤井 暢弘
1
,
横田 伸一
1
,
横沢 紀子
1
,
岡林 環樹
1
Nobuhiro FUJII
1
,
Shin-ich YOKOTA
1
,
Noriko YOKOSAWA
1
,
Tamaki OKABAYASHI
1
1札幌医科大学医学部微生物学講座
キーワード:
ウイルス
,
Toll-like receptor
,
自然免疫
Keyword:
ウイルス
,
Toll-like receptor
,
自然免疫
pp.17-27
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101857
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ウイルス感染に対する生体の防御機構は,感染初期においては自然免疫系が機能し,感染後数日を経て獲得免疫の成立に至る.自然免疫としては,まず生体に恒常的に存在している,補体,生体防御レクチン,NK細胞等がウイルスや感染細胞に対応する.さらに,病原体関連分子パターン(ウイルス蛋白や核酸)を上皮細胞,血管内皮細胞や免疫担当細胞に発現している病原体認識受容体(TLRsやRIG-I等)が感知しサイトカインの産生誘導が生じ,サイトカインネットワークを介して免疫担当細胞の成熟・活性化を起こし獲得免疫の成立を促す.一方,サイトカインの一種であるインターフェロンは強力な抗ウイルス効果でウイルスの増殖・拡散を阻止する.しかし,ウイルスはこれらの自然免疫系の多くの機能を抑制・撹乱する戦略を構築し,両免疫機構から逃れる能力を備えている.
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