Japanese
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連載 細胞を用いた再生医療の現状と今後の展望――臨床への展開・Vol.6
クローン病に対する瘻孔治療
-――アロフィセルを中心に
Fistula treatment for crohn’s disease
――Focusing on alofisel
高橋 秀和
1
,
水島 恒和
2
Hidekazu TAKAHASHI
1
,
Tsunekazu MIZUSHIMA
2
1大阪警察病院消化器外科
2獨協医科大学外科学下部消化管講座
キーワード:
クローン病
,
瘻孔
,
幹細胞
Keyword:
クローン病
,
瘻孔
,
幹細胞
pp.191-196
発行日 2025年1月11日
Published Date 2025/1/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292020191
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SUMMARY
クローン病は口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位に炎症をきたし,時に瘻孔を形成する.瘻孔には内瘻と外瘻があり,外瘻には痔瘻などの肛門部瘻孔がある.なかでも肛門部瘻孔は罹患頻度が高く,全体の約25%の頻度で合併する.肛門病変には,病勢の制御と肛門機能の保持に配慮した治療法の選択が求められる.軽症例には抗菌薬で対応し,寛解維持のために抗TNF-α製剤の使用が推奨されている.しかしながら,これらの内科的治療だけでは限界があり,長期的には全体の約70%の症例で外科的治療が必要となり,その約半数に再発を認める.近年,治療抵抗性の肛門部瘻孔治療において幹細胞を用いた再生医療の有用性が注目されている.ADMIRE-CD試験の結果を受けて,Alofisel®が2017年,治療抵抗性の複雑性肛門部瘻孔を有するクローン病患者への脂肪由来幹細胞治療薬として世界ではじめての承認を欧州委員会から取得し,わが国においても保険適用となっている.
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