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特集 巨大災害に備えるための災害医療――発災前の備え,発災直後の体制,発災後中長期的健康課題の解決
大規模災害後の中長期的健康課題とその対策
Middle- and long-term health issue and measures after large-scale disasters
石黒 真美
1
,
小原 拓
1
,
栗山 進一
1,2
Mami ISHIKURO
1
,
Taku OBARA
1
,
Shinichi KURIYAMA
1,2
1東北大学東北メディカル・メガバンク機構予防医学・疫学部門分子疫学分野
2東北大学災害科学国際研究所
キーワード:
災害
,
家族
,
妊産婦
,
子ども
,
健康
Keyword:
災害
,
家族
,
妊産婦
,
子ども
,
健康
pp.165-170
発行日 2025年1月11日
Published Date 2025/1/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292020165
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東日本大震災は未曽有の災害であり,健康課題が指摘されていた.人々の中長期的な健康状態の把握とより質の高い医療の実現を目指し,東北メディカル・メガバンク計画が発足した.計画の一部である三世代コホート調査は,妊婦と児,児の同胞,父親,祖父母,親族を対象とした出生ゲノムコホート研究であり,震災後の家族の健康調査を実施している.三世代コホート調査の結果から,さまざまな世代において被災が各健康関連指標や疾患と関連しており,中長期的な健康課題が明らかになりつつある.今後も各種疾患の縦断的な評価のもと適切な対策の立案が求められる.特に中長期的には,慢性疾患やそのリスクとなりうる生活習慣について調査を続け,発症や重症化予防に努める必要がある.また,生活習慣等の改善のため家族単位でのアプローチの必要性も考えられる.さらには,災害の内容に応じて各種疾患の発症・有病状況はさまざまであることから,状況に適した適切な対策の立案が求められている.対策の立案には災害前後での比較が重要であり,常時モニタリングできる体制の構築が望ましい.
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