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はじめに─センターが研究協力を決定した経緯
神奈川県立こども医療センター(以下,当センター)では,平成12~13年度科学研究費基盤研究(B)(2)「小児における癌性疼痛緩和方法の開発」(研究代表者:片田範子)に2病棟が研究参加した。研究終了後も,痛みがある子どもへの「痛みの履歴書」を活用しての緩和ケアは継続していた。また,平成14~15年度科学研究費基盤研究(B)(2)「小児における癌性疼痛緩和のための非薬理学的援助方法の開発」(研究代表者:片田範子)にも2病棟が研究参加し,痛みの緩和ケアが病院に根付くよう取り組んでいた。
研究協力終了後,「痛みの履歴書」の活用が浸透し,病棟単位で痛み緩和ケアの効果についての研究を継続しており,がん性疼痛以外の子どもにも「痛みの履歴書」を活用してのケアが行なわれていた。
このような状況のなか,今回の研究「研究成果を実践に根付かせるための専門看護師を活用した臨床─研究連携システムの構築─小児における痛みアセスメントツールを用いたケア導入と効果の検証を通して」(研究代表者:片田範子)(以下,痛み班研究)への協力についての相談があり,本研究のようなプロジェクトがあれば,当センターの痛み緩和ケアが,子どもにとっていまよりもよいものに変化させられるのではないかと考え,当センター看護管理者に相談し,研究協力を決定した。今回の研究参加者となる子どもは,がん性疼痛に限らず,手術を受ける子どもも対象となった。
本研究に協力する病棟は,これから痛みアセスメントツールを導入し取り組もうとしている病棟と,すでに痛みアセスメントツールの導入を行なっており,痛みの緩和ケアの定着をめざしている病棟であった。痛みアセスメントツールを病棟のケアとして導入し,子どもの痛み緩和ケアの効果や看護師の痛み緩和ケアに対する意識の変化,ケアの変化を明らかにしていくことを目的に研究を開始し,痛み緩和ケアの質の向上をめざした。また,4病棟の看護師が共同協力者として参加し,CNSである筆者とともに,本研究を進めていった。
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