Japanese
English
特集 巨大災害に備えるための災害医療――発災前の備え,発災直後の体制,発災後中長期的健康課題の解決
保健・医療・福祉を全天候型にする誰一人取り残さない防災の5原則
Five principles of diversified, equitable, and inclusive disaster risk reduction for all weather purpose public health, medical, and social service collaborations
立木 茂雄
1
Shigeo TATSUKI
1
1同志社大学社会学部社会学科
キーワード:
誰一人取り残さない防災
,
全天候型の計画
,
社会的脆弱性
,
レジリエンス
,
インクルージョン・マネジメント
Keyword:
誰一人取り残さない防災
,
全天候型の計画
,
社会的脆弱性
,
レジリエンス
,
インクルージョン・マネジメント
pp.145-151
発行日 2025年1月11日
Published Date 2025/1/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292020145
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
本稿では,災害時に社会的弱者を含むすべての人々を誰一人取り残さない防災の重要性と,その実装方法を5つの原則から解説する.まず,平時の保健・医療・福祉と防災対策の分断が被害拡大の根本的な原因であることを指摘し,これを解消するために両者を統合した “全天候型” の計画が必須であると論じる.さらに,1995年の阪神・淡路大震災および2011年の東日本大震災における長期的な縦断研究に基づき,社会的弱者が災害時に特に深刻な影響を受けることを示すエビデンスを提示し,支援においては平等性ではなく,多様性に応じた衡平性が不可欠であると主張する.また,被災後の生活再建には “復元” と “変容” という2つのプロセスがあり,それぞれに対応するためには,多部局・多組織の恊働が不可欠であると説く.そして恊働を実現するための越境,境界連結と恊働・参画からなる “インクルージョン・マネジメント” プロセスの導入を提案し,その意義を論じる.
Copyright © 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.