特集 成育基本法と医療的ケア児等支援法に基づく育児支援
医療的ケア児等支援法に則った医療的ケア児と家族の支援
日本の小児在宅医療のさらなる発展に向けた提言―誰一人取り残さず,抜け落ちることのない支援
前田 浩利
1
MAEDA Hirotoshi
1
1医療法人財団はるたか会
pp.1589-1592
発行日 2022年11月10日
Published Date 2022/11/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000400
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はじめに
2008年の都立墨東病院事件以降,医療的ケア児のNICUから家庭,地域への移行は進んだ。かつては医療的ケア児が家族と生活をともにすること自体に,家庭に医療を持ち込む,家族の負担になることなどを理由に反対する意見もあったが,実際に自宅に帰り,幸せに成長していく医療的ケア児が増えるにつれ,それらの意見は自然に消えていった。その変化の原動力になったのが,医療的ケア児に対する訪問診療,在宅医療である。それは2012年以降,訪問診療が乳児,小児医療として認められ,身体障害者医療や,難病,小児慢性疾患医療の制度の下で,家族の負担なしに実施することができたことが大きい。しかし,医療だけでは,子どもの自宅での生活を支えることはできない。ホームヘルパーや通所,短期入所,介護用品の購入など,さまざまな支援があって初めて自宅での生活が成り立つ。それらの支援は,制度,法律の整備とともにこの10年間で急速に整えられつつある。その流れを概観しながら,今後の小児在宅医療の課題と方向性について述べたい。
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