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特集 巨大災害に備えるための災害医療――発災前の備え,発災直後の体制,発災後中長期的健康課題の解決
災害のあらゆるフェーズで活躍する保健師
Public health nurses active in every phase of a disaster
岩本 萌
1
,
大森 純子
2
Megumu IWAMOTO
1
,
Junko OMORI
2
1東北大学大学院医学系研究科・公衆衛生看護学
2聖路加国際大学大学院看護学研究科・公衆衛生看護学
キーワード:
保健師
,
災害時保健活動
,
減災のための取り組み
Keyword:
保健師
,
災害時保健活動
,
減災のための取り組み
pp.152-158
発行日 2025年1月11日
Published Date 2025/1/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292020152
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近年,気候変動や都市化の進行を背景に,自然災害の頻度や複雑さが増しており,災害時保健活動のさらなる向上と,防災・減災への積極的な取り組みが求められている.災害が発生すると社会基盤が揺らぎ,生活環境や健康に重大な影響を与えることから,保健師は地域住民の健康と安全を守るため,災害発生直後から復興期までのすべてのフェーズで活動を行っている.また,保健師は災害時だけでなく,平常時から防災・減災へ向けた取り組みの実施が求められており,具体的には次の災害に向けたマニュアルの整備,研修によるスキルアップ,地域防災計画策定への関与,防災・減災のための住民への啓発活動などがあげられる.しかし,これらの取り組みの一部は十分に実施されていない現状があり,特に地域住民への普及啓発や個別支援の実施率の低さが課題である.平常時からの地道な活動こそが地域の防災力向上の鍵であり,そのためには保健師と地域住民,関連機関との連携が重要である.保健師は全国の自治体にくまなく配置される唯一の保健医療職である.公衆衛生学と看護学を基盤とすることから,身体的・心理的・社会的側面から個人/家族/近隣コミュニティの特性と日常生活を地理的情報とともに把握している.このことを強みに,災害リスクを住民と共有し,誰一人取り残さないインクルーシブ防災・減災の普及啓発活動を牽引できる専門職として期待される.
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