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第1土曜特集 ゲノム解析時代の血液腫瘍学
T/NK細胞リンパ腫のゲノム異常と臨床的有用性
Genetics of T/NK-cell lymphomas and its clinical utilities
大石 直輝
1
Naoki OISHI
1
1山梨大学大学院総合研究部医学域人体病理学講座
キーワード:
T細胞リンパ腫
,
NK細胞リンパ腫
,
JAK/STAT
Keyword:
T細胞リンパ腫
,
NK細胞リンパ腫
,
JAK/STAT
pp.116-121
発行日 2025年1月4日
Published Date 2025/1/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292010116
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T/NK細胞リンパ腫は発生部位や臨床像,細胞形態,免疫学的形質,腫瘍細胞におけるウイルス感染の有無に基づいて分類される.結果として多数の病型が存在し,臨床的,病理学的,分子生物学的に極めて不均一である.近年のゲノム解析で,節性T濾胞ヘルパー細胞リンパ腫(nTFHL)におけるRHOA p.G17V,ALK陽性未分化大細胞リンパ腫(ALK+ALCL)におけるALK再構成など,各病型に特徴的な分子異常が明らかになり,これらは客観的な病型診断,精度の高い予後予測に貢献している.一方,STAT3,JAK1/3などのJAK/STAT経路,TET2,DNMT3A,KMT2Dなどのエピゲノム関連,TP53の遺伝子異常は病型横断的に存在し,病型の鑑別には臨床病理学的アプローチが今なお必要である.また,得られたゲノム異常の知見から,いかに腫瘍細胞の脆弱性を予測し,T/NK細胞リンパ腫患者の精密医療にどうつなげるかが,今後の課題である.
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