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第1土曜特集 ゲノム解析時代の血液腫瘍学
造血器腫瘍におけるゲノム異常による造血幹細胞移植の適応判断
Determination of the indication for allogeneic hematopoietic stem cell transplantation on the basis of genomic analysis in hematopoietic tumors
森田 彩巴
1
,
諫田 淳也
1
Iroha MORITA
1
,
Junya KANDA
1
1京都大学大学院医学研究科血液内科学
キーワード:
同種造血幹細胞移植
,
NGS(次世代シーケンサー)パネル検査
,
リスク分類
Keyword:
同種造血幹細胞移植
,
NGS(次世代シーケンサー)パネル検査
,
リスク分類
pp.12-20
発行日 2025年1月4日
Published Date 2025/1/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292010012
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造血器腫瘍領域では,疾患の予後予測により同種造血幹細胞移植の適応を判断する.現在,世界的に次世代シーケンサー(NGS)検査情報をベースにした疾患予後予測分類が次々と登場している.急性骨髄性白血病(AML)では,NGSパネル検査に基づく新たな予後分類であるELN(European Leukemia Network)2022分類が登場した.NGSパネル検査により,特に予後良好群の遺伝子変異としてCEBPA bZIPのインフレーム変異を,また予後不良群の遺伝子変異としてTP53変異および骨髄異形成症候群(MDS)関連遺伝子を検出可能と考えられる.MDSではNGSパネル検査に基づく予後分類IPSS-Mが登場し,従来よりも正確な予後予測が可能となった.急性リンパ芽球性白血病(ALL)でも,IKZF1plus変異などハイリスク遺伝子変異の検出は,第一寛解期(CR1)での同種造血幹細胞移植実施の判断材料となる.骨髄線維症(MF)における診断に必要なドライバー変異であるJAK2,CALR,MPL変異は現在,PCR法で検出可能である.さらに,NGSパネル検査によるASXL1などの遺伝子変異の検出により,より詳細な疾患予後スコアおよび移植後の予後予測スコアが開発されている.初発時にNGSパネル検査を実施することで,わが国でもこれらの予後予測スコアの活用が可能となり,これまで以上に同種造血幹細胞移植が必要な患者の適切な選択と,最適な移植時期の決定が可能となると考えられる.
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