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第1土曜特集 生殖医学――基礎研究と実地診療の進歩
子宮内膜症の成立に寄与する子宮内細菌:基礎研究の知見より
Uterine microbiota contributing to the establishment of endometriosis:Insights from basic research
大須賀 智子
1
,
村岡 彩子
2
Satoko OSUKA
1
,
Ayako MURAOKA
2
1名古屋大学大学院医学系研究科産婦人科学
2同医学部附属病院産科婦人科
キーワード:
子宮内膜症
,
逆流説
,
フソバクテリウム
,
子宮内膜微小環境
Keyword:
子宮内膜症
,
逆流説
,
フソバクテリウム
,
子宮内膜微小環境
pp.999-1004
発行日 2024年12月7日
Published Date 2024/12/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291100999
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子宮内膜症は性成熟期女性の約10%に認められるとされる,ありふれた疾患であり,かつ不妊症の原因となる.治療の主軸はホルモン療法であるが,排卵や月経を抑制し,不妊治療とは両立できないため,不妊治療中はさらに病状が進行するというジレンマに陥る.一方で子宮内膜症の成因は不明であり,病態解明とそれに基づく根本的な治療法開発が求められている.当教室では,子宮内膜症患者の子宮内膜ではどのような変化が起こっているのかを,遺伝子発現変動を糸口として解析した.その結果,細菌感染が微小環境変化を引き起こし,子宮内膜の細胞が増殖能や浸潤能を獲得し,月経時に卵管を通じて腹腔内へ逆流した際に子宮内膜症病変を形成するという知見を得た.さらに,子宮内膜症マウスモデルの検討により,抗菌薬投与による子宮内膜症病変の治療効果が示された.本稿では,以上の成果について概説する.
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