Japanese
English
第1土曜特集 生殖医学――基礎研究と実地診療の進歩
着床後発生:ヒト受精卵から胎盤が発生する仕組み
Post-implantation development:Human placental development
岡江 寛明
1
Hiroaki OKAE
1
1熊本大学発生医学研究所胎盤発生分野
キーワード:
胎盤
,
栄養膜細胞
,
栄養膜幹細胞(TS細胞)
Keyword:
胎盤
,
栄養膜細胞
,
栄養膜幹細胞(TS細胞)
pp.982-986
発行日 2024年12月7日
Published Date 2024/12/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291100982
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
胎盤の主要な構成細胞である栄養膜細胞は,母児間の物質交換,ホルモンの産生,免疫寛容の成立などにおいて中心的な役割を担っている.栄養膜細胞は着床前の栄養外胚葉に由来し,①細胞性栄養膜細胞(CT細胞),②合胞体栄養膜細胞(SynT細胞),③絨毛外栄養膜(EVT細胞)の3種類に大別される.CT細胞は高い増殖能力を持ち,SynT細胞およびEVT細胞へと分化する能力を有する.SynT細胞はCT細胞の融合によって作られる多核の細胞であり,栄養・ガス交換やホルモン産生を担う.EVT細胞はCT細胞の上皮間葉転換によって作られ,子宮内膜へと浸潤してらせん動脈の再構成を行うことで,母体の血流の調整に関与する.近年になって,SynT細胞およびEVT細胞への分化能を保持したまま長期培養可能なヒト栄養膜幹細胞(TS細胞)が樹立されたことで,栄養膜細胞の増殖・分化の制御機構に関する研究が加速している.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.