見開き講座 分子細胞遺伝学への道しるべ・11
染色体3.染色体数的異常
田村 高志
1
1杏林大学保健学部臨床遺伝学教室
pp.1356-1358
発行日 2001年11月1日
Published Date 2001/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906046
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染色体異常とは
染色体への何らかの外的要因あるいは内的要因によって生じた数の異常や形態の異常を染色体異常(chromosome abnormality,またはchromosome aberration)という.染色体異常には,全身の細胞でみられる先天性の異常(constitutional abnormality)と小細胞集団や組織内でみられる後天性の異常(acquired abnormality)とがある.先天性の異常は,発生の初期の段階で生じる.すなわち,片親の異常な精子あるいは卵子を受け継ぐことによって,染色体の数や形態に異常が生じる.後天性の異常は,がん細胞や放射線・ウイルス・化学物質などの影響によって,体細胞に一時的にみられる異常である.一般にいわれている染色体異常症候群は先天性の異常であり,変異原によって生じる染色体異常や腫瘍にみられる染色体異常は,後天性の異常である.
染色体異常には,染色体数が増減する数的異常(numerical abnormality)と形態に変化が見られる構造異常(structural abnormality)とに大別される.今回は数的異常について解説する.
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