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第5土曜特集 細胞外小胞・エクソソームの医療応用の未来
基礎研究および最近の研究トピック
血管機能と細胞外小胞
Vascular function and extracellular vesicles
樋田 京子
1
,
森本 真弘
2,3
Kyoko HIDA
1
,
Masahiro MORIMOTO
2,3
1北海道大学大学院歯学研究院血管生物分子病理学教室
2同口腔診断内科学教室
3がん研究会有明病院
キーワード:
動脈硬化
,
血管透過性
,
炎症
,
腫瘍血管
,
細胞外小胞(EVs)
Keyword:
動脈硬化
,
血管透過性
,
炎症
,
腫瘍血管
,
細胞外小胞(EVs)
pp.662-667
発行日 2024年11月30日
Published Date 2024/11/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291090662
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血管はヒトの生老病死に関わるため,その異常は多くの疾患の原因となる.血管内皮細胞由来の細胞外小胞(EVs)は,血管透過性の調節や血管新生,血栓形成に関与し,特に炎症や病態に応じて機能が変化する.また,血小板由来のEVsは止血や血栓症に寄与し,炎症状態では血管透過性を亢進させるメディエーターを運搬する.一方で,赤血球からは老化や損傷に伴いEVsが放出され,免疫応答にも影響を与える.EVsはまた,腫瘍微小環境においても重要な役割を果たし,腫瘍細胞や血管内皮細胞に対して血管新生を促進する因子を運搬する.腫瘍細胞由来のEVsは,特定のmiRNAや成長因子を含み,血管内皮細胞の機能を変化させ,転移や薬剤耐性の獲得に関与することから,腫瘍血管の異常性が誘導される要因として示唆されている.さらに,EVsの濃度や組成の変化は,高血圧や糖尿病などの血管疾患においても観察され,疾患の進行や治療反応性のバイオマーカーとしての可能性が示唆されている.これらの知見から,EVsは血管機能の調節,疾患のメカニズム理解,そして新しい治療法の開発において重要なターゲットとなることが期待される.
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