特集 腎疾患領域のゲノム医療と新規治療ターゲット
5.IgA 腎症の遺伝子解析と扁桃のマイクロバイオーム研究
山口 浩毅
1
,
後藤 眞
1
,
成田 一衛
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科腎・膠原病内科学
キーワード:
IgA 腎症
,
マイクロバイオーム
,
ゲノムワイド関連解析
,
口蓋扁桃摘出術
,
糖鎖不全IgA1
Keyword:
IgA 腎症
,
マイクロバイオーム
,
ゲノムワイド関連解析
,
口蓋扁桃摘出術
,
糖鎖不全IgA1
pp.45-51
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.19020/KB.0000000097
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
IgA 腎症は口蓋扁桃をはじめとする上気道粘膜上皮における細菌抗原の感作が病因として想定され,わが国を中心にIgA 腎症患者に対する口蓋扁桃摘出術が広く行われているが,扁摘治療の理論的根拠については未だ確立していない.一方で,急速な進歩を続けるゲノム解析技術がIgA 腎症にも応用され,病巣感染に関連する病態の解明も進められている.ゲノムワイド関連解析では外来抗原に対する粘膜免疫応答に関与する複数の疾患感受性遺伝子が同定され,さまざまな自己免疫疾患と感受性遺伝子を共有することが判明した.また,次世代シークエンサーを使用したマイクロバイオーム研究により,IgA 腎症に特有の細菌叢組成の網羅的解析も可能となった.今後,扁桃病巣感染と粘膜免疫応答の関連に対する解析が進められ,IgA 腎症の発症機序の解明と標準治療法の開発へ繫がることが期待される.
Copyright © 2018, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.