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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.13
遺伝性炎症性疾患から紐解く自己タンパク過剰蓄積を感知する分子機構の解明
-――免疫プロテアソーム機能異常によりもたらされる自己炎症性疾患の病態解明に向けて
Molecular basis of autoinflammatory disorders induced by proteasome dysfunction
森本 純子
1
,
安友 康二
1
Junko MORIMOTO
1
,
Koji YASUTOMO
1
1徳島大学大学院医歯薬学研究部生体防御医学分野
キーワード:
免疫プロテアソーム
,
JASL
,
中條–西村症候群
,
プロテアソーム関連自己炎症症候群(PRAAS)
,
自己炎症
,
脂肪萎縮
Keyword:
免疫プロテアソーム
,
JASL
,
中條–西村症候群
,
プロテアソーム関連自己炎症症候群(PRAAS)
,
自己炎症
,
脂肪萎縮
pp.228-233
発行日 2024年10月19日
Published Date 2024/10/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291030228
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SUMMARY
自己炎症症候群(autoinflammatory syndrome)は,感染を伴わない自然免疫細胞を主体とする炎症性疾患として1999年にKastnerらによって提唱された.多くは遺伝性で臨床的にさまざまな疾患を含んでおり,近年のゲノム解析の発展により原因遺伝子の特定が進みつつある.そのなかで免疫プロテアソーム構成タンパク質の遺伝子バリアントを原因とする自己炎症症候群は,プロテアソーム関連自己炎症症候群(PRAAS)とよばれている.筆者らは,日本で1930年代より報告されている中條–西村症候群の原因遺伝子として,免疫プロテアソームβ5iサブユニットをコードするPSMB8遺伝子を見出し,その発見がPRAASの疾患概念の基盤となった.プロテアソームは細胞内で不要になったタンパク質の選択的分解を担うことで細胞の恒常性維持に寄与しているが,プロテアソーム機能異常からPRAASの各種病態に至る分子機構の詳細は不明であり,有効な治療法が確立されていないのが現状である.本稿ではPRAASの病態解明に向けた最新知見について概説する.
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