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特集 好酸球細胞外トラップと疾患―― “エフェクター細胞” の新しい視点
はじめに
Introduction
植木 重治
1
Shigeharu UEKI
1
1秋田大学大学院医学系研究科 総合診療・検査診断学講座
pp.173-173
発行日 2024年10月19日
Published Date 2024/10/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291030173
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- Abstract 文献概要
好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps:NETs)は,『Science』誌に掲載された2004年のBrinkmannらの報告に端を発している.その3年後には細胞外トラップの放出機構が解明され,NADPH(nicotinamide adenine dinucleotide phosphate)オキシダーゼに依存した細胞死(NETosisとよばれる)によるものであることが明らかになった.好中球がDNA,顆粒タンパク,ヒストンからなる線維状の構造物を放出することで,病原体に対する自然免疫機構の一端となっているという概念は画期的であり,まもなく感染症だけでなく自己免疫疾患や悪性腫瘍など,多くの疾患において重要な役割を担っていることが明らかになった.現在では,貪食や分泌に加えて,細胞外トラップは好中球の主要なエフェクター機能と認識されており,好中球性炎症を語るうえで欠かせないものになっている.
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